Alex Lahey “I Love You Like A Brother” / アレックス・レイヒー『アイ・ラヴ・ユー・ライク・ア・ブラザー』


Alex Lahey “I Love You Like A Brother”

アレックス・レイヒー 『アイ・ラヴ・ユー・ライク・ア・ブラザー』
発売: 2017年10月6日
レーベル: Dead Oceans (デッド・オーシャンズ)

 オーストラリア、メルボルン出身のシンガーソングライター、アレックス・レイヒーの1stアルバムです。

 彼女は2016年に地元オーストラリアで『B-Grade University』というEPを発売、その後2017年にデッド・オーシャンズと契約し、前述の『B-Grade University』を再発、本作『I Love You Like A Brother』をリリースしています。

 清潔感のある白を基調としたジャケットから、アコギ片手に伸びやかな女性ボーカルの声が響きわたる作品を想像していましたが、それとはちょっとイメージの異なる、ガレージの香りもほのかに漂うインディーロック、といった感じのアルバムです。

 力強いロックな声質と、伸びやかな女性シンガーソングライター系の声質のちょうど中間のような、絶妙なボーカルの声。その声の魅力を全面に出しながら、地に足の着いたインディーロック然とした音楽が展開されます。

 アルバム1曲目の「Every Day’s A Weekend」。やや歪んだギターとドラムによるシンプルな、本当にシンプルなイントロ。その上に開放的で伸びやかなボーカルが乗り、少しずつ楽器が増えて加速していく、ロックな曲。

 若干のガレージ風味もありつつ、ボーカルの声とコーラスワークには爽やかな雰囲気もあり、アンサンブルも加速感の演出がうまく機能的。

 「機能的」と書くと味気ない印象を与えてしまうかもしれませんが、シンプルな演奏なのに、ひとつひとつの音符やフレーズが最大限の効果を生むよう、アレンジされているということです。

 若干のラフさを持っているところも、ロック的な疾走感とダイナミズムを増幅させています。

 2曲目の「I Love You Like A Brother」は、パワフルで立体的なドラムが響きわたり、ギターのフィードバックが緊張感と期待感を煽るイントロ。やや奥の方から聞こえるボーカルのカウントもエモーショナルで、1曲目に続いてこちらもロックな1曲。ギターが厚みのあるパワーコードを響かせます。

 しかし、ボーカルが激し過ぎず、伸びやかな声を持っているので、いい意味でのポップさも併せ持っています。ロック過ぎず、甘すぎない、絶妙のバランス。ギターソロの音色も良い。

 5曲目の「Backpack」は、ギターも抑え目に、ミドルテンポでじっくり聴かせる1曲。ここまでのアルバムの楽曲と比較すると、ソフトなサウンド・プロダクションに仕上げ、緩やかにグルーヴしていくアンサンブルが心地よいです。

 シンプルなロックを下敷きに、アレンジにもサウンドにも、手の届く範囲でのバラエティを取り入れた、一貫性のあるアルバムです。この、ゴージャスになりすぎず、ゴテゴテに感じさせないバランス感覚というのは、特にインディー系の音楽には大事だと思います。背伸びしていたり、消化不調で折衷的な音楽というのは、やっぱりあまり魅力的には響かない。

 冒頭にも書きましたが、ボーカルの声と表現力も、このアルバムの大きな魅力です。力強くもあり、伸びやかでもあり、僅かにかすれた声が、非常にエモーショナルに響きます。

 オーストラリア出身のシンガーソングライターということで、もっとオーガニックな耳ざわりの音を想像していましたが、いい意味で期待を裏切る、インディーロック感のあるアルバムです。

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