7, ニューヨークの音楽史


 このページでは、アメリカを代表する国際都市であり、音楽の中心地でもあるニューヨークの音楽の歴史を、簡潔に振り返りたいと思います。

ニューヨークの歴史

 ここまで順番にお読みいただいた方には、繰り返しになる部分もありますが、まずはニューヨーク(特にマンハッタン)の歴史をざっと振り返りましょう。

 ヨーロッパ人が移住してくる前、この地域にはレナペ族(デラウェア族)が暮らしていました。この地に、最初に植民地を建設したのはオランダ。

 マンハッタン島はニューアムステルダムと名付けられ、毛皮貿易の中心地となります。やがて、イギリスがこの地を支配し「ニューヨーク」と改称。現在に至るまで、アメリカを代表する都市のひとつであり続けます。
 
 ニューヨークが国際都市として発展した理由は、もともと貿易所として始まり多種多少な人々が集まる場所だった、その後もヨーロッパからの移民の玄関口として機能していたこと、などが挙げられます。

 1892年から1954年までの間は、アッパー・ニューヨーク湾内にあるエリス島に移民局が置かれ、ヨーロッパからの移民は、まずこの地を踏むことになります。

 20世紀に入り「アフリカ系アメリカ人の大移動」が始まると、マンハッタン北部にあるハーレムへ多数のアフリカ系住民が移住。さらなる人種の多様化を生みます。

 多種多様な人々が集い、経済的にもアメリカの中心であり続ける国際都市ニューヨーク。その多様性と都会性が、メインストリームだけでなく、アンダーグラウンドな文化も育むことになったのでしょう。

ニューヨークの音楽シーン

 ビートルズを筆頭に、イギリスのバンドが猛威を振るう1960年代、ニューヨークでは1964年にヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)が結成されます。

 アヴァンギャルドかつ内省的な音楽性を持つ彼らは、商業的な成功はおさめられなかったものの、後続のバンドに多大な影響を与え、1970年代のニューヨーク・パンクやノー・ウェーブに繋がっていきます。

 アンダーグラウンドな文化も育まれていく一方で、19世紀末からは「ティン・パン・アレー」と呼ばれる音楽関係の会社が集まる一角が生まれ、その後のポップ・ミュージックを牽引するなど、ニューヨークはオーバーグラウンドでもアメリカ音楽界の中心的な役割を果たします。

 また、アフリカ系住民の多いハーレムでは、ジャズのビバップやヒップホップも発展します。

 1970年代に入ると、テレヴィジョン、トーキング・ヘッズ、ラモーンズ、パティ・スミスなどが活躍し、彼らはニューヨーク・パンクと呼ばれるようになります。彼らの間に、必ずしも音楽的な共通項が見出せるわけではありませんが、音楽面へのこだわりが強く、広い意味で前衛的、メジャーへのカウンター的である、という点では共通していると言えるかもしれません。

 さらに1970年代後半に入ると、前衛的な音楽を志向するノー・ウェーブ(No Wave)と呼ばれるシーンが盛り上がります。このシーンの中心的なバンドは、DNA、マーズ(Mars)、ジェームス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズ(James Chance & The Contortions)など。1978年に設立されたZEレコード(ZE Records)は、ノー・ウェーブ系のバンドの作品を数多くリリースしました。

 1980年代に入ると、スワンズとソニック・ユースが実験性の高い音楽をロックバンドで鳴らし、ニューヨークのインディー・シーンを牽引します。

インディペンデント・レーベル

 1980年代後半以降になると、現在まで続く有名インディペンデント・レーベルが次々と生まれます。ニューヨークを代表する名門レーベルといえば、1989年に設立されたマタドール(Matador Records)です。ヨ・ラ・テンゴやスーパーチャンクの作品をリリースし、ニューヨークはおろかアメリカを代表するインディー・レーベルのひとつとなります。

 1990年には、スワンズのマイケル・ジラが実験的なロックを中心にリリースするレーベル、ヤング・ゴッド(Young God Records)を設立。2000年代以降では、アクロン/ファミリーやデヴェンドラ・バンハートなどの作品をリリースしています。

 1999年には、レ・サヴィ・ファヴ(Les Savy Fav)のベーシスト、シド・バトラーがフレンチキス(Frenchkiss Records)を設立。2001年には、LCDサウンドシステムのジェームス・マーフィーがDFAを設立するなど、アーティスト自身によるレーベルの設立も目立ちます。

 また、全てのバンドがインディー・レーベル所属というわけではありませんが、2000年代以降はブルックリンと、マンハッタンのロウワー・イースト・サイドを中心に新たなシーンが形成。

 ストロークス、ヤー・ヤー・ヤーズ、ダーティー・プロジェクターズ、グリズリー・ベア、TV オン・ザ・レディオ、ヴァンパイア・ウィークエンドなど、ニューヨークらしく多彩なバンドが活躍しています。

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