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Anna Burch “Quit The Curse” / アンナ・バーチ『クイット・ザ・カース』


Anna Burch “Quit The Curse”

アンナ・バーチ 『クイット・ザ・カース』
発売: 2018年2月2日
レーベル: Polyvinyl (ポリヴァイナル)

 ミシガン州デトロイト出身のバンド、フロンティア・ラッカス(Frontier Ruckus)の元メンバーであり、フェイルド・フラワーズ(Failed Flowers)での活動でも知られる、アンナ・バーチの初ソロ・アルバムです。アメリカ国内ではPolyvinyl、イギリスとヨーロッパではHeavenly Recordingsからのリリース。

 フォークやカントリーからの影響がわかりやすく、オルタナ・カントリー色の濃いフロンティア・ラッカスの音楽性から比較すると、アンナ・バーチのソロ作は、よりルーツを感じさせない音楽になっています。あえてジャンル名を使って表すなら、ギター・ポップ風味のあるインディーロックといったバランスの作品です。

 Polyvinylのウェブサイトでは、クリスタル・クリア・ボーカル・ハーモニー(crystal clear vocal harmonies)と表現されるアンナ・バーチの歌声は、透きとおるように繊細で、このアルバムの大きな魅力のひとつです。

 1曲目の「2 Cool 2 Care」は、透明感のあるギター・サウンドと、アンナの透き通るようなウォームな声が、空間に優しく沁みわたる1曲。再生時間2:28あたりからのギターのフレーズと、全体の有機的なアンサンブルも聴きどころ。

 2曲目「Tea-Soaked Letter」は、バンド全体が波打つように緩やかにグルーヴしていくのが心地よい1曲です。間奏での流れるようなギターのフレーズも、曲に彩りを添えています。一聴するとシンプルな耳ざわりの曲ですが、複数のギターが絡み合うアンサンブルは、なかなか複雑です。

 4曲目はアルバム表題曲の「Quit The Curse」。ゆったりとしたテンポで、バンド全体でたっぷりとタメを作った演奏を展開します。

 5曲目「Belle Isle」は、みずみずしいサウンドのギターと、柔らかなボーカルが溶け合い、ヴェールに包まれたような音像を作り上げる1曲。

 9曲目「With You Every Day」は、シンプルな伴奏に、多層的なコーラスワークが溶け合う1曲。各楽器のフレーズはシンプルですが、再生時間1:59あたりからのわずかに躍動感が生まれるようなアレンジなど、リズムの違いで楽曲の展開を多彩にしています。

 アルバム全体を通して、各楽器とも飾り気が無くナチュラルな音質が多用されていますが、耳に心地よく響くサウンドばかりです。オーバー・プロデュースにはならず、丁寧に音作りがなされているのがわかります。

 特にギターの音は、空間系のエフェクターをやり過ぎにならない程度に、効果的に使った透明感のあるサウンドが多く、そのサウンドをもって組み上げれらるアンサンブルも素晴らしいです。

 聴き始めたときは、まあなかなか良いアルバムだなぐらいに思っていましたが、通しで聴くと良さが、さらに滲み出てきました。