Butthole Surfers “Locust Abortion Technician” / バットホール・サーファーズ『ローカスト・アボーション・テクニシャン』


Butthole Surfers “Locust Abortion Technician”

バットホール・サーファーズ 『ローカスト・アボーション・テクニシャン』
発売: 1987年3月
レーベル: Touch And Go (タッチ・アンド・ゴー)

 テキサス州サンアントニオ出身のバンド、バットホール・サーファーズの3rdアルバムです。

 とにかく変な音を出しまくるバンド、バットホール・サーファーズ。本作『Locust Abortion Technician』も、オルタナティヴやアヴァンギャルドというより、「ワルノリが過ぎる」と言った方が適切なアルバムです。音楽の下地には、シンプルなロックが見え隠れしますが、表層的にはファニーな音やアレンジが耳につきます。

 ジャンクで実験的でサイケデリック。とっ散らかった音楽が展開されますが、各曲とも不思議なまとまりがあります。とはいえ、一般的にはかなりエキセントリックな作品なので、知り合いや家族が近くにいる場所で聴くときは、注意しましょう。

 1曲目は「Sweat Loaf」。タイトルから想像できる方もいらっしゃると思いますが、ブラック・サバスの「Sweet Leaf」のオマージュで、ギター・リフをそのまま拝借しています。しかし、ギターの音質はブラック・サバス的なハード・ロックを感じさせるものではなく、もっと下品でジャンクな響きを持ったもの。

 ボーカルもメロディアスでは決してなく、笑い声や叫び声が飛び交う曲です。アルバム冒頭から、先行きが楽しみになってきます(笑)

 2曲目「Graveyard」も、イントロからノイジーかつヘロヘロな高音ギターが響き渡ります。慣れてくると、何も感じなくなってきてしまいますが、この曲もかなり変な曲です。下品に歪んだギターが、突拍子もないフレーズを随所の差し込み、エフェクトがかかり過ぎたボーカルが、うめき声のように響きます。

 3曲目「Pittsburg To Lebanon」のイントロには、さわやかな鳥のさえずりがサンプリングされています。しかし曲自体はさわやかとは程遠く、重たく引きずるようなスローテンポに、つぶれるほど歪んだリズム・ギターと、耳障りなリード・ギターが乗り、ボーカルは嘔吐でもするかのような、下品な歌い方。実にバットホール・サーファーズらしい1曲だと思います。

 6曲目の「Human Cannonball」は、ドタバタしたドラムのリズムに、フリーキーなボーカルと、自由でノイジーなギターが乗っかる1曲。全体のサウンド・プロダクションは、かなり奇妙なのは事実ですが、ノリが良く、普通のロックのように聴くことも可能です。

 7曲目「U.S.S.A.」は、ボーカルも含め全ての楽器が下品に歪んでいて、一体感…というより塊感のある1曲。アンサンブルがどうこうという楽曲ではなく、ボーカルにも加工がなされているため、聴く人によっては、プレイヤーが故障したと勘違いするかもしれません。

 アルバムを通して、とにかく下品でジャンクな空気が充満した1作です。ただ、実験性が高すぎて聴きにくいかというと、ドラムのリズムやギター・リフなど、音楽として楽しめる要素を残した曲が多く、意外と普通に聴けます。まったくポップ・ソングの体をなしてないトラックも、中にはありますが(笑)

 これは価値観によるんでしょうが、バットホール・サーファーズを聴いたときに人の反応は、不快に顔をしかめるか、ワルノリに笑ってしまうか、のいずれかが多いのではないでしょうか。僕は後者です。

 意味わかんない音楽やってるんだけど、アレンジやエフェクトにポストロック的な要素を感じたり、エキセントリックなロックとして聴けたり、個人的には面白いアルバムだなと思います。

 





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