Green Day “Kerplunk!” / グリーン・デイ『カープランク!』


Green Day “Kerplunk!”

グリーン・デイ 『カープランク』
発売: 1991年12月17日
レーベル: Lookout! (ルックアウト)
プロデュース: Andy Ernst (アンディ・アーンスト)

 カリフォルニア州出身のパンク・ロック・バンド、グリーン・デイの2ndアルバム。前作『39/Smooth』と同じく、彼らの地元カルフォルニアを拠点にするインディー・レーベル、ルックアウトからのリリース。

 1994年発売の次作『Dookie』では、ワーナー系列のリプリーズ・レコード(Reprise Records)からメジャー・デビュー。同作は、グラミー賞の「最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞」を受賞。2014年までに、世界中で合計2000万枚以上を売り上げ、グリーン・デイは世界的なバンドの仲間入りを果たします。

 そんなモンスター・アルバム『Dookie』の3年前に、インディーズでリリースされた本作。みずみずしいメロディーと、3ピースによる有機的なアンサンブルは既に完成されていて、こりゃ人気でるわ!と納得のクオリティを持った1作です。

 バンドのアンサンブルは、特に目新しいことはやってないんですけど、歌のメロディーと伴奏が分離することなく、一体となって疾走していきます。音圧や速度で、疾走感を演出するのではなくて、アンサンブルにも多くのフックが仕込まれているのが、今にまで続くこのバンドの魅力ですね。

 1曲目の「2000 Light Years Away」から、まさに前述したとおりの一体感と疾走感のある演奏が展開。ボーカルのメロディーも、バンドのアンサンブルの一部となり、リズムのメロディーの両面で耳をつかまれます。思わず体を揺らしながら、メロディーを口ずさんでしまう1曲。

 3曲目「Welcome To Paradise」は、『Dookie』にも収録された曲。タイトにリズムを刻むドラムに、メロディアスに動き回るベース。その上で流れるように滑らかに疾走していく、ギターとボーカル。ハーモニーで立体感とみずみずしさをプラスするコーラスワークと、音楽的フックが無数にあり、メロコアのお手本のような1曲。

 6曲目「Dominated Love Slave」は、カントリー風味のコミカルな1曲。おどけたようなボーカルの歌唱に、バックで随所に飛び交うシャウト。芯のしっかりした安定感のあるアンサンブルと、バンドの地力を感じます。ルーツ・ミュージックへの深い愛情も感じられ、あらためて引き出しの多いバンドであると、思い知らされますね。この曲は担当楽器を入れ替えていて、ギターのビリー・ジョー(Billie Joe Armstrong)がドラムを叩き、ドラムのトレ・クール(Tré Cool)がギターを弾いています。

 10曲目「No One Knows」は、ベースの歌うようなフレーズから始まる、ミドルテンポの1曲。淡々としたコード進行と、感情を抑えたようなボーカルが、メロディーと歌詞を浮かび上がらせます。ゴリゴリに押すだけではなく、優れたメロディーメイカーであり、多彩なアンサンブルの引き出しを持っているところも、このバンドの魅力。

 16曲目「My Generation」は、イギリスのロック・バンド、ザ・フー(The Who)のカバー。本家に負けず劣らず、グリーン・デイらしく若者の心情を歌い上げていきます。

 LP版では12曲収録。CD版とカセット版では4曲のボーナス・トラックが追加され、合計16曲収録となっています。

 メジャーデビュー後の音質と比較すると、やや音圧が劣るのは事実ですが、それが気にならないほど、メロディーが際立ったアルバム。むしろ、音圧が低いために、メロディーが前景化されて、ダイレクトに聴き手に響くと言っても良いかもしれません。

 あとは、声の魅力って大きいよなと。ビリー・ジョーの伸びやかで、楽器にも溶け込む声は、一聴すれば彼の声と分かりますし、このバンドのオリジナリティになっています。

 彼の声の魅力は、まず前述したように楽器にも馴染む、言い換えれば楽器的な「鳴り」を持っている点。そして、喋っている地声の延長線上のように、自然な声に聞こえるところ。個性と親しみやすさが共存していて、リスナーに寄り添い、共感を覚えやすい声と言えます。