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Zombi “Surface To Air” / ゾンビ『サーフェス・トゥ・エア』


Zombi “Surface To Air”

ゾンビ 『サーフェス・トゥ・エア』
発売: 2006年5月2日
レーベル: Relapse (リラプス)

 ペンシルベニア州ピッツバーグ出身のロック・デュオ、ゾンビの2ndアルバムです。ベースとシンセサイザー担当のスティーヴ・ムーア(Steve Moore)と、ドラムとシンセサイザー担当のA.E.パテラ(A.E. Paterra)からなる2人組。

 このグループが奏でる音楽は、ジャンルとしてはスペース・ロックやシンセウェーブにカテゴライズされることが多いのですが、なぜだかメタル系のレーベルであるリラプスと契約しています。

 本作『Surface To Air』で展開されるのは、うねるようなシンセの音と、タイトなリズム隊が絡む、複雑怪奇なアンサンブル。

 シンセサイザーらしい柔らかな音色が使用されていますが、もしかしたらアナログ・シンセが使用されているのかもしれません。音に独特の暖かみと太さがあります。

 3曲目の「Legacy」を例にとると、同じフレーズを繰り返すシンセを、正確なリズム隊が支え、徐々にアンサンブルが複雑さを増していく展開。

 シンセサイザーの音色にはエレクトロニカ、タイトで複雑なドラムにはポストロック、全体の幾何学的なリズム・デザインにはマスロック…を感じなくもないですが、そういったジャンル分けが無力化されてしまうほど、個性的で意味不明(ほめ言葉です)な音楽が繰り広げられます。

 一部のポストロックやマスロック・バンドが目指す、過激で複雑なアンサンブルを、シンセサイザーの音色を用いて鳴り響かせた。一言で説明するならば、そんな作品だと思います。

 他に似たような音を出しているバンドがいませんし(大量にいても困るけど笑)、個人的にはけっこうお気に入りのグループであり、アルバムです。

 こういうグループと契約するリラプスの柔軟性にも、ちょっと感心しました。