Drowners “Drowners” / ドラウナーズ『ドラウナーズ』


Drowners “Drowners”

ドラウナーズ 『ドラウナーズ』
発売: 2014年1月28日
レーベル: Frenchkiss (フレンチキス)

 ニューヨークを拠点に活動する4ピースバンド、Drownersの1stアルバムです。ギター・ボーカルのマシュー・ヒット(Matthew Hitt)はウェールズ出身。彼が2011年にニューヨークに引っ越し、他のメンバーと出会ったことでバンドが結成されます。

 ギター・ボーカル、ギター、ベース、ドラムの4人組で、疾走感あふれるロックを鳴らします。各楽器の役割がはっきりしていて、いきいきとした躍動感もあります。バンド全体の歯車がカチっと組み合って疾走するアンサンブルと、ボーカルの声には、ストロークスの1stアルバムを彷彿とさせる部分もあり。

 1曲目「Ways To Phrase A Rejection」では、イントロの左右チャンネルに振られたギターに、まず耳を掴まれます。一方はコードを弾き、もう一方は副旋律的なフレーズを弾くなど、2本のギターの役割がはっきりとしていて、バンドを加速させていきます。

 トレモロ他エフェクターを多数使っていると思われるギターソロのサウンドも良い。あっという間に終わる、と思ったら1分46秒しかない曲でした。展開が多く、フックも多いので、本当にすぐ終わってしまう感覚。

 4曲目「Watch You Change」では、ほどよく歪んだ伸びやかなサウンドのギターが単音を弾き、空間系のエフェクターのかかったギターがコードを担当。2本のギターと、タイトなリズム隊が合わさり、バンドがひとつの生き物のように躍動します。

 10曲目「Let Me Finish」は、イントロからやや堅いサウンドのベースが、リズムを刻んでいきます。そこに、タイトなドラムが加わり、徐々に加速していく1曲。このアルバム全体を通して、ハイファイ過ぎず、臨場感のあるリズム隊のサウンドも良いです。

 11曲目「Let Me Finish」は、クリーントーンのギターと、オーバードライヴのかかったギターが、対比的に響き、サウンドに彩りをもたらしています。

 12曲収録で、再生時間は28分台。ですが、パンキッシュに突っ走るだけではなく、アンサンブルにもサウンドにも、工夫が凝らされているのが、随所に感じられる1枚です。ギターのことばかり書いてしまいましたが、リズムはタイトに、サウンドには野太さとドタバタ感のある、ベースとドラムも良いです。

 何かに似ている、と言うのは本人たちに失礼ですが、前述したようにストロークスの1stアルバムを、もう少し明るいサウンド・プロダクションで再現したようなアルバムだと思います。