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Minor Threat “Out Of Step” / マイナー・スレット『アウト・オブ・ステップ』


Minor Threat “Out Of Step”

マイナー・スレット 『アウト・オブ・ステップ』
発売: 1983年4月1日
レーベル: Dischord (ディスコード)
プロデュース: Don Zientara (ドン・ジエンターラ)

 1980年にワシントンD.C.で結成され、1983年に解散。その短い活動期間にも関わらず、その後のハードコア・パンクに多大な影響を与えたバンド、マイナー・スレットが残した唯一のアルバムです。メンバーのイアン・マッケイ(Ian MacKaye)と、ジェフ・ネルソン(Jeff Nelson)が立ち上げたレーベル、ディスコードからのリリース。

 80年代前半のレコーディングであるため、現代的な音圧の高いサウンドと比較すると、全体のサウンドがしょぼく感じられるかもしれませんが、音質など気にならなくなるほど、疾走感とエモーションに溢れた作品です。

 高速ビートと、激しく歪んだざらついたギター、疾走感あふれるバンド・アンサンブルも、もちろんこの作品およびバンドの魅力ですが、何よりもこのバンドを特別にしているのはイアン・マッケイの声。個人的には、そう思います。

 シャウト気味の歌唱ではあるものの、雑にならず、言葉に感情がしっかりと込められ、ダイレクトに聴き手に届きます。メロディーに思いのほか起伏があり、メロディアスなのも、歌の魅力を増幅していると言えるでしょう。

 1曲目「Betray」は、細かく正確にリズムを刻むドラムをはじめ、無駄を削ぎ落としたタイトなアンサンブルに、イアンのボーカルが乗り、パンク的な疾走感と、シングアロングしたくなるポップさが共存した1曲。再生時間2:04あたりで、テンポを落とし、リズムを切り替えるところも、マイナー・スレットがただ直線的に走るバンドではないことを象徴しています。

 2曲目「It Follows」は、硬質なサウンドのベースのイントロに導かれ、タイトに絞り込まれたアンサンブルが展開されます。相変わらず、ドラムがプレイ、音色ともに非常にタイト。

 4曲目「Look Back & Laugh」は、ダークでアングラ臭の漂うギターリフから始まり、徐々に躍動感と疾走感、ボーカルのテンションが上がっていきます。

 8曲目「Out Of Step」は、各楽器がほどけた、ややドタバタしたアンサンブルながら、各楽器ともキレ味が鋭く、疾走感あふれる1曲。

 9曲目「Cashing In」は、各楽器とボーカルが絡み合うように、アンサンブルを編み上げる1曲。おどけた歌い方のボーカルがチャーミング。

 「ハードコア・パンク」と言うと、スピード重視のイメージが少なからずあります。本作も、このジャンルを代表する名盤と言っていい1枚であり、スピード感にも溢れているのですが、アンサンブルやボーカルのメロディーにも、スピード感と同じぐらい重きを置いて、タイトにまとまっているところが、この作品が名盤であり、後続のバンドに多大な影響を及ぼした理由であると思います。

 僕はイアン・マッケイ先生信者で、フガジもディスコードも大好きですが、マイナー・スレットも大好き! 未聴の方は、ハードコア・パンクの世界へ、さらに足を踏み入れるために、是非とも聴いてみてください。