Ida “Lovers Prayers” / アイダ『ラヴァーズ・プレイヤーズ』


Ida “Lovers Prayers”

アイダ 『ラヴァーズ・プレイヤーズ』
発売: 2008年1月29日
レーベル: Polyvinyl (ポリヴァイナル)
プロデュース: Warren Defever (ウォーレン・デフィーヴァー)

 ニューヨーク州ブルックリン出身のバンド、アイダの通算7枚目のアルバム。フォークとギターポップが融合したようなサウンドと、緩やかにグルーヴしていくアンサンブル、繊細で絶妙なバランスの男女混声コーラスワークが美しい1枚。プロデュースは、ミシガン出身のエクスペリメンタル・ロックバンドHis Name Is Aliveのウォーレン・デフィーヴァー。

 音楽を形づくるパーツは比較的シンプルなのに、無限に広がっていくような開放感を感じるアレンジが秀逸。このアルバムを風景に例えるなら、いたるところに花が咲き、小川がせせらぐ森の中。ナチュラルで暖かみのある音像を持った作品です。

 1曲目は表題曲の「Lovers Prayer」。ピアノとドラムが波のように折り重なり、いきいきとした躍動感あるアンサンブルを構成しています。極上の歌モノでありながら、アンサンブルのクオリティが高いところも、本作の魅力。

 3曲目「The Love Below」は、持続する電子音と、ギターのミニマルなコード・ストローク、シェイカーと思われる音が、レイヤー状に重なるような1曲。5曲目「Worried Mind Blues」は、シンプルなリズムから、徐々に躍動感が生まれていきます。

 6曲目「Gravity」は、音数を絞ったミニマルな伴奏なのに、カラッポ感は無く、音楽が優しく部屋を満たしていくような1曲。そんなバンドの演奏と相まって、ボーカルのメロディーの美しさが際立ちます。

 7曲目は「For Shame Of Doing Wrong」。波のように打ち寄せるアコースティックギターのコード・ストローク、絶妙な声色のバランスのコーラスワーク、奥で鳴り続ける持続音。全ての音が優しく空間を包み込みような1曲。声質もハーモニーの面でも、コーラスが本当に素晴らしい。

 10曲目「Surely Gone」は、電子音と声のみのアンビエントなイントロから、ピアノが入ってリズムや和声進行がはっきりとしてくる展開には、ゆっくりと休んでいた音楽が、立ち上がってくるような感覚があります。この曲はユニゾンによるコーラスも聴きどころ。それぞれの声の差違が、サウンドに厚みをもたらしています。

 当たり前の話ですが、普通はドラムを中心にリズムがキープされるものです。しかし、本作には、アコースティック・ギターやピアノが、ときには伸縮して躍動しながら、いきいきとリズムをキープしていくような曲が多くあります。

 間違いなく歌を中心にした作品で、サウンド・プロダクションもフォークやカントリーを下地にしつつ、わずかに隠し味のように忍ばせられる電子音が、モダンな質感をもたらしていると思います。緩やかなグルーヴ感とコーラスワークが心地よく、ボーカルも含めた生楽器と電子音のバランスも絶妙な1枚です。