Codeine “Frigid Stars LP” / コデイン『フリジッド・スターズLP』


Codeine “Frigid Stars LP”

コデイン 『フリジッド・スターズLP』
発売: 1990年8月15日
レーベル: Sub Pop (サブ・ポップ)
プロデュース: Mike McMackin (マイク・マクマッキン)

 ニューヨーク出身のバンド、コデインの1stアルバム。ジャンルとしては、スロウコアにカテゴライズされる、というよりむしろ、スロウコアというジャンルの創始者とされることもあるバンドです。

 本作もスローテンポに乗って、物憂げなボーカルがたゆたい、音数を極力減らしたミニマリスティックなアンサンブルが展開されます。しかし、スカスカで味気ない作品かというと全くそんなことはなく、音量やスピードに頼らなくても、エモーショナルな音楽は作れる!と証明するようなアルバムです。

 曲によってはスロー再生をしている、あるいは逆再生なんじゃないかと思うぐらいスローテンポなのですが、その中にロックのダイナミズムが不足なく表現されています。

 音の少なさとスローテンポが、聴き手の熱量を奪うような、ひんやりとした質感を持っており、「極寒の星」というアルバム・タイトルも、本作の内容を示唆しているんじゃないかと思います。

 2曲目の「Gravel Bed」は、イントロでは何拍子がつかみにくいほどのスローテンポ。しかし、徐々にビート感が生まれ、感情を排したようなボーカルからは、切迫感が伝わります。伝えようとしているのは、絶望や悲しみといった感情でしょうか。

 3曲目「Pickup Song」は、音数を絞ったアンサンブルが展開されますが、再生時間0:41あたりで轟音ギターがなだれ込む、静寂から爆音へのコントラストは、後のポストロックを彷彿とさせます。

 5曲目の「Second Chance」は、ギターのノイジーなフィードバックが錯綜する隙間を探すように、ボーカルが淡々とメロディーを歌う1曲。静寂から轟音へ転化する時間的なコントラストではなく、同じ時間における質的なコントラストを生み出しています。

 音圧やスピードが表現するエモーションとは違った形で、違ったエモーションを表出するアルバム、と言ったらいいでしょうか。スローテンポで音数も絞り、時には静寂と爆音のコントラストによって、緊張感とスリルを演出しています。

 ボーカリゼーションによるところも大きいのですが、悲しみや切なさが前面に出た、独特の温度感を持ったアルバムです。

 





コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください