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Lightning Bolt “Lightning Bolt” / ライトニング・ボルト『ライトニング・ボルト』


Lightning Bolt “Lightning Bolt”

ライトニング・ボルト 『ライトニング・ボルト』
発売: 1999年
レーベル: Load (ロード)
プロデュース: Dave Auchenbach (デイヴ・オーチェンバック)

 ロードアイランド州プロヴィデンス出身、ドラムのブライアン・チッペンデール(Brian Chippendale)と、ベースのブライアン・ギブソン(Brian Gibson)からなる2ピース・バンド、ライトニング・ボルトの1stアルバム。

 地元プロヴィデンスが拠点のエクスペリメンタル系のインディー・レーベル、Load(ロード)からのリリース。

 ドラムとベースのいわゆるリズム隊のみという編成も特異ですが、音楽性はさらにエキセントリック。ハードコアの先進性と、ヘヴィメタルの硬質なサウンドの攻撃性が、凝縮され抽出されたような音楽が展開されます。

 一般的な意味では、全くポップではありませんが、音楽の尖った部分のみを取り出したようなサウンドが、ある人にとってはフックとなり、クセになるでしょう。

 1曲目「Into The Valley」は、叩きつけるようなドラムの高速ビートと、ノイジーなベースが疾走する1曲。リフやコード進行のような、わかりやすい構造は存在せず、ただただノイジーに疾走していく演奏は圧巻です。

 2曲目「Murk Hike」は、前のめりに暴走するイントロから始まり、その後は一定のリズムが繰り返される1曲。

 4曲目「Fleeing The Valley Of Whirling Knives」は、ここまでのアルバムの流れの中では、最も曲らしい構造を備えた1曲。ドラムはタイトにリズムを刻み、ベースは音色は激しく歪んでいながら、ハードロックのようにリフを弾き、サウンドとリズムが一体となったかっこよさがあります。ただ、後半はやや加速するなど変化はあるものの、10分を超える曲の中でミニマルにリフが繰り返されるため、やはりある程度はリスナーを選ぶ曲だと言わざるを得ません。

 5曲目「Mistake」は、もはや原音がはっきりしないレベルまで歪んだベースが、空間を埋め尽くす1曲。ベースの奥で聞こえる金属的な音色のドラムも含め、非常に耳障りなサウンド・プロダクション。

 6曲目「Zone」は、32分を超える大曲。形を変えながら、ひたすら嵐のようなサウンドが吹き荒れる、ノイズ絵巻。しかし、随所にフックとなりそうなリフらしき断片やリズムがあり、一部の人にとってはたまらない1曲でしょう。僕は…体調が良いときでないと、聴く自信がありません。聞き流しやBGMには全く向かない質の音楽です。

 7曲目の「And Beyond」は6曲目に続き、こちらも14分を超える長尺の1曲。ドラムとベースが塊となって絡み合いながら、リスナーへと迫ってきます。

 耳障りで、この手の音楽を聴かない人からしたら、ノイズにしか聞こえない音の詰まった本作。しかし、疾走感や硬質でソリッドな音色など、ロックが持つ攻撃性を極限まで尖らせたそのサウンドには、かっこいいと思える部分が随所にあります。

 正直、万人にオススメはしがたい音楽ですが、ハードでポストな音楽を求める方は聴いてみては。