The Dodos “Carrier” / ザ・ドードース『キャリアー』


The Dodos “Carrier”

ザ・ドードース (ドードーズ) 『キャリアー』
発売: 2013年8月27日
レーベル: Polyvinyl (ポリヴァイナル)
プロデュース: Jay Pellicci (ジェイ・ペリッチ)

 カリフォルニア州サンフランシスコ出身のバンド、The Dodosの通算5枚目のスタジオ・アルバム。2ndアルバム『Visiter』から4thアルバム『No Color』まではニューヨークのレーベルFrenchkissからのリリースでしたが、本作からイリノイ州シャンペーンと、カリフォルニア州サンフランシスコに居を構えるPolyvinylへ移籍しています。

 また、本作ではバンド名の表記から「The」が外され、「Dodos」と表記されています。このあとの6作目『Individ』では、「The Dodos」標記へ戻っています。

 ドードーズの特徴といえば、アコースティック楽器をアンサンブルの中心に据えながら、色彩豊かなサウンドと、パワフルでいきいきとした躍動感を響かせるところです。立体的で、空間の広さを感じさせる、ドラムのサウンドも魅力。

 今作『Carrier』は、パワフルで立体的なドラムはやや抑え目に、アンサンブルでコントラストとグルーヴを丁寧に組み上げた印象の1作。また、今まではアコースティック・ギターがサウンドの中核でしたが、今作ではエレキ・ギターが多用されているのも特徴です。

 1曲目は「Transformer」は、リズムの異なる2本のギターによるイントロから、徐々に音楽が躍動していきます。再生時間0:49あたり、再生時間1:40あたりなど、ドラムがシフトの切り替えを担い、バンド全体もドラムと共にコントラストを演出するアレンジも秀逸。

 4曲目の「Stranger」は、4分間の曲なのに、展開が実に多彩な1曲。細かくリズムを刻むドラムとギターが、音数の多さで壁を作るようなイントロ。再生時間1:49あたりからの、立ちはだかる壁のような厚みのあるディストーション・サウンド。さらに再生時間2:18あたりから、手数を増やし、一気にシフトを上げるドラム。そのドラムが先導者となって、バンド全体が躍動を始める展開も、鳥肌ものです。

 10曲目の「Death」は、タイトルのとおり、寂しけでエレクトロニカのような音響的なイントロ。空間系のエフェクターの深くかかった、幻想的なサウンドのギターと、穏やかに漂うようなボーカルが、アンビエントな雰囲気を醸し出します。ドードーズには、めずらしい音像を持った1曲。

 いきいきとした躍動感と、アンサンブルの巧みさは残しつつ、サウンド・プロダクションの広がりを感じさせる1作。このアルバムも、非常にクオリティが高いのは間違いないのですが、僕個人の好みだと、1枚目から4枚目の、カントリー色の強いサウンドながら、パワフルな躍動感を響かせていた作品の方が好きです。

 このアルバムは2018年3月現在、残念ながらデジタル配信はされていないようです。