Superchunk “Foolish”
スーパーチャンク 『フーリッシュ』
発売: 1994年4月18日
レーベル: Merge (マージ)
プロデュース: Brian Paulson (ブライアン・ポールソン)
ノースカロライナ州チャペルヒル出身のバンド、スーパーチャンクの4thアルバム。メンバーのマック・マコーンとローラ・バランスによって設立されたレーベル、Mergeからリリース。プロデュースはブライアン・ポールソン、ミックスはスティーヴ・アルビニが担当。
デビュー当初からのスーパーチャンクの武器である、疾走感とドライヴ感はそのままに、バンドの音楽性の拡大を示す1枚です。テンポを抑えた曲が増え、アンサンブルも高度に練り上げられ、コントラストや迫力の演出が、格段に向上しています。
さらに、音がいい。音圧が圧倒的に高いというわけではないのですが、無駄なプロデュースが無く、各楽器が生々しく、臨場感あふれるサウンドでレコーディングされています。
アルバムの幕を開ける、1曲目は「Like A Fool」。ゆったりと堂々としたテンポの曲です。イントロは2本のギターが、それぞれ穏やかに単音フレーズとコードを弾いていくのですが、再生時間1:00あたりでフル・バンドになると、パワフルに躍動感を響かせます。ドラムの音が立体的にレコーディングされていて、下から響くような鳴り方。
2曲目の「The First Part」は、そこまでテンポが速いわけではありませんが、ギターのフレーズや、ベースの音程の動くタイミングが推進力になって、ドライブ感が溢れる1曲です。楽曲が前に進んでいく力が、みなぎっています。
3曲目「Water Wings」は、イントロから感情が吹き出したかのようなギターが曲を先導。ともに歪んだ2本のギターと、タイトなリズム隊、開放感のある高音ボーカルが一丸となって迫ってくる1曲。
4曲目の「Driveway To Driveway」は、各楽器が絡み合うアンサンブルが心地よい、ミドルテンポの1曲です。ところどころ声が裏返りそうなギターのサウンドも、アクセントになって耳に残ります。
10曲目「Revelations」は、嵐の前の静けさのようなイントロから、途中でテンポも音量も上がるコントラストが鮮やかな1曲。ドラムの立体的な音もかっこいい。
サウンドもアンサンブルもオーバー・プロデュースにならず、ロックのかっこいい部分を凝縮したようなアルバムです。ここまでの3作と比べて、楽曲の幅やアレンジには洗練も感じます。しかし、前の3作が劣っているというわけでも、本作がメジャー的な作風になったというわけではありません。
あくまで地に足が着いたかたちで、自分たちの音楽を追求する姿勢が、音にも滲み出た1作です。