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The Skygreen Leopards “Family Crimes” / ザ・スカイグリーン・レパーズ『ファミリー・クライムズ』


The Skygreen Leopards “Family Crimes”

ザ・スカイグリーン・レパーズ 『ファミリー・クライムズ』
発売: 2014年7月8日
レーベル: Woodsist (ウッドシスト)

 カリフォルニア州サンフランシスコ出身の2ピース・バンド、ザ・スカイグリーン・レパーズの2014年発売のアルバム。

 前作までは、インディアナ州ブルーミントンのレーベル、ジャグジャグウォーからのリリースでしたが、本作ではニューヨーク市ブルックリン出身のフォーク・ロック・バンド、ウッズ(Woods)のメンバーが設立したレーベル、ウッドシストからのリリース。

 カントリーやフォークを下敷きにしながら、ほのかにサイケデリックな空気を振りまくのが、ザ・スカイグリーン・レパーズの魅力であり特徴でした。

 しかし本作では、エレキ・ギターの比率が増え、フォーク要素がやや後退し、曲によってはギターポップのようにも聞こえる、穏やかなポップが展開されます。ただ、隠し味のように忍ばせられたサイケデリックな空気は、本作でも健在。

 前述したとおり、ウッズのジェレミー・アール(Jeremy Earl)が立ち上げたウッドシストからのリリースなので、むしろフォーク要素が濃くなるのではないかと想像していましたが、結果は逆でした。

 1曲目「Leave The Family」は、アコースティック・ギターと、キラキラしたエレキ・ギター、シンセサイザーらしき柔らかな電子音が溶け合う、穏やかな雰囲気の1曲。前作までのフォーキーな耳ざわりとは違った、ギターポップのようなサウンド・プロダクション。

 2曲目「Love Is A Shadow」も、アコギと電子音が絡み合いながら、緩やかにグルーヴしていく、心地よすぎて、眠くなりそうな1曲。

 3曲目「My Friends」は、ゆったりと立体的にリズムを刻むドラムと、オーガニックな響きのアコギ、空間系エフェクターがかけられ浮遊感のあるエレキ・ギターが、緩やかなグルーヴ感を形成していきます。

 6曲目「Reno Wedding」では、音色の異なる複数のギターが絡み合い、アンサンブルを構成します。イントロで聞こえる、ややざらついた音色のギターが印象的。

 7曲目「It’s Not Love」は、奥の方で鳴るエフェクトのかかったギターと、浮遊感のあるコーラスワークが、シューゲイザーを彷彿とさせる1曲。轟音で押し流すようなパワフルなサウンドではありませんが、緩やかなフォーク・ロックに、シューゲイザー風味が重ねられた、面白いバランス。

 アコースティック・ギターがアンサンブルの主軸であり、音楽の根底にフォークがあるのは確かですが、エレキ・ギターとキーボードが効果的に用いられ、フォーク色を中和。前作と比較すると、よりインディー・ロック色、ギターポップ色の強まったアルバムと言えます。

 





The Skygreen Leopards “Gorgeous Johnny” / ザ・スカイグリーン・レパーズ『ゴージャス・ジョニー』


The Skygreen Leopards “Gorgeous Johnny”

ザ・スカイグリーン・レパーズ 『ゴージャス・ジョニー』
発売: 2009年7月21日
レーベル: Jagjaguwar (ジャグジャグウォー)

 カリフォルニア州サンフランシスコ出身、グレン・ドナルドソン(Glenn Donaldson)とドノヴァン・クイン(Donovan Quinn)からなる2ピース・フォーク・バンド、ザ・スカイグリーン・レパーズの2009年発売のアルバム。

 2001年に結成され、セルフリリースのCD-Rでも何作かアルバムをリリースしているので、本作を何枚目のアルバムとカウントすべきなのか、正確にはわかりません。すいません。

 前作『Disciples Of California』では、数名のゲスト・ミュージシャンを迎えてレコーディングしていましたが、本作でもペーパーカッツ(Papercuts)名義でも活動するジェイソン・クイヴァー(Jason Quever)が、前作から引き続いて参加。ドラムのジャスミン・ウォン(Jasmyn Wong)も、2曲で参加しています。

 このバンドはジャケットにドクロを用いることが多いんですけど、牧歌的なカントリーロード上にドクロが置かれた前作に引き続き、今作もカラフルな建物の窓からドクロが覗くデザインになっています。

 カントリーやフォークを基本にしながら、オルタナティヴなサウンドとアレンジを隠し味に、ほのかにサイケデリックな空気を醸し出す彼らの音楽性に、ぴったり一致したデザインだと思います。

 1曲目の「Johnny’s Theme」は、ボーカルの入らないイントロダクション的な楽曲ですが、イントロからギターが絡み合い、それを包み込むようにオルガンがアンサンブルが構成。オルガンの音色が、60年代から70年代のサイケデリアを思わせるサウンドを持った1曲です。

 2曲目「Margery」も、オルガンとアコースティック・ギターを中心に、オーガニックなサウンドを持った1曲。ですが、アコーディオンのような豊かな倍音を含んだオルガンが、サイケデリックな雰囲気をプラスし、楽曲に奥行きを与えています。

 8曲目「Gorgeous Johnny」は、ゆったりとしたテンポに乗せて、緩やかなグルーヴ感のあるアンサンブルが展開される1曲。ギターもドラムもたっぷりタメを作って、糸を引くようにリズムを刻むため、穏やかなカントリー調の曲のなかに、酩酊的な空気が同居します。

 フォークとカントリーが根底にはありますが、エレキ・ギターとオルガンが効果的に用いられ、現代的なサウンドに仕上がっているアルバム。前述したとおり、サウンドとアレンジからは随所にサイケデリックな空気も漂います。

 前作から比較すると、アコギよりもエレキとオルガンの比率が高まり、カントリー要素よりも、現代的な色が濃く出たアルバムでもあります。

 





The Skygreen Leopards “Disciples Of California” / ザ・スカイグリーン・レパーズ『ディサイプルス・オブ・カリフォルニア』


The Skygreen Leopards “Disciples Of California”

ザ・スカイグリーン・レパーズ 『ディサイプルス・オブ・カリフォルニア』
発売: 2006年10月24日
レーベル: Jagjaguwar (ジャグジャグウォー)

 2001年にカリフォルニア州サンフランシスコで結成された、グレン・ドナルドソン(Glenn Donaldson)とドノヴァン・クイン(Donovan Quinn)からなる2ピース・バンド、ザ・スカイグリーン・レパーズの2006年発売のアルバム。

 メンバー2人は、ジュエルド・アントラー・コレクティヴ(The Jewelled Antler Collective)というミュージシャン・グループの一員でもあります。

 本作には、ザ・スカイグリーン・レパーズと同じくサンフランシスコ出身のシェイディー・サーティン(Shayde Sartin)、ペーパーカッツ(Papercuts)ことジェイソン・クイヴァー(Jason Quever)らも参加。

 牧歌的なカントリーロードの先に置かれたドクロが、不釣り合いなようで、まわりに溶け込んでいるようにも見えるジャケット。この印象的なジャケットに対応するように、本作もサイケデリックな雰囲気を醸し出すフォーク、といった趣のアルバムです。

 たびたび、彼らと同じくカリフォルニア州出身のフォーク・ロック・バンド、ザ・バーズ(The Byrds)が引き合いに出されることがあるザ・スカイグリーン・レパーズ。確かに、フォークやカントリーを下敷きにしながら、ザ・バーズを思わせる揺れるようなサウンドを持っています。

 アルバム表題曲でもある、1曲目の「Disciples Of California」から、アコースティック・ギターのコード・ストロークを基本にしたカントリー色の濃い音楽が鳴らされています。しかし、アコギの音にも若干の濁りがあり、それを取り囲むエレキ・ギターとリズム隊も有機的にアンサンブルを構成。緩やかなグルーヴ感と、サイケデリックな空気を併せ持った1曲です。

 4曲目「Egyptian Circus」は、複数のギターが多層的に重なっていき、音のヴェールを生み出すようなサウンド・プロダクション。エフェクターに頼らず、幻想的な空気を演出しています。

 6曲目「William & The Sacred Hammer」は、トレモロのかかった震えるようなギター・サウンドが、ゆったりとしたテンポに乗って、牧歌的かつサイケデリックな雰囲気を醸し出す1曲。ドラムもタメをたっぷり作って、音が遅れて出てくるようにリズムを刻み、サイケデリックな空気をさらに盛り上げます。

 一聴するとカントリー色が強く、そこまでサイケデリアや実験性が前面に出ているわけではありませんが、穏やかなサウンドの中に、わずかに壊れた部分が隠されている、といった感じで、違和感がアクセントとして、音楽のフックになったアルバム。

 やり過ぎてないし、わざとらしくもないけど、静かに壊れてる、というバランス感覚が良いと思います。

 iTunes StoreおよびApple Musicでは、今のところデジタル配信はされていないようです。アメリカ国内では配信されているので、将来的には可能性がありそうですが。