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All Girl Summer Fun Band “2” / オール・ガール・サマー・ファン・バンド『2』


All Girl Summer Fun Band “2”

オール・ガール・サマー・ファン・バンド 『2』
発売: 2003年4月22日
レーベル: K Records (Kレコーズ)

 オレゴン州ポートランドで結成されたバンド、オール・ガール・サマー・ファン・バンドの2ndアルバム。

 1stアルバム『All Girl Summer Fun Band』は、ソフトなサウンド・プロダクションを持った、ややローファイの香りも漂う作品でした。それと比較すると、サウンド・プロダクションが遥かにソリッドになった本作。

 ギターも歪んだサウンドが増え、各楽器ともパワフルな音。輪郭がはっきりして、各楽器のプレイが認識しやすくなったということもありますが、アンサンブルもタイトに感じられます。

 しかし、彼女たちのオシャレでキュートな雰囲気と、素晴らしいコーラスワークは健在。音はハードになりましたが、長所は損なわれていません。

 2曲目「Down South, 10 Hours, 1-5」は、縦の揃ったリズム隊と、リード・ギターの絡みが心地よい、ゆるやかな疾走感のある曲。リズム・ギターとリード・ギターの役割分担もはっきりしていて良いです。

 4曲目「Jason Lee」は、コーラスワークもアンサンブルも立体的で凝ったアレンジの1曲。再生時間0:16あたりで、バンド全体がシフトを切り替えるようなアレンジも、コントラストを鮮やかに演出。

7曲目「Daydreaming」は、タイトルのとおりドリーミーで、音響的な1曲。ボーカルも幻想的な雰囲気をプラスしていて、前作よりも音楽性の引き出しが増えたことを感じさせます。

 8曲目「Video Game Heart」は、シンセと思しきサウンドがうねる1曲。うねるシンセとリード・ギターが絡み合うイントロは、サイケデリックな空気が漂います。その後も疾走感のある展開。芯の強い声で歌うボーカル、コーラスワークも素晴らしい。

 前作は全体的にオシャレでポップな空気が充満したアルバムでしたが、前述したとおり、今作は音がハードになり、ロック色の強まった1作です。

 とはいえ、ギターポップの範疇に入る耳なじみの良さと、さわやかで時に複雑なコーラスワークは健在で、ポップでカラフルなアルバムだと思います。

 この作品もぜひともオススメしたいのですが、残念ながら今のところデジタル配信はされていないようです…。





All Girl Summer Fun Band “All Girl Summer Fun Band” / オール・ガール・サマー・ファン・バンド『オール・ガール・サマー・ファン・バンド』


All Girl Summer Fun Band “All Girl Summer Fun Band”

オール・ガール・サマー・ファン・バンド 『オール・ガール・サマー・ファン・バンド』
発売: 2002年
レーベル: K Records (Kレコーズ)

 オレゴン州ポートランドで結成されたバンド、オール・ガール・サマー・ファン・バンドの1stアルバムです。

 ローファイ風味のある、オシャレでギターポップな4人組のガールズ・バンド。クリーントーンのギターを使用した、リラクシングな雰囲気でありながら、緩やかなグルーヴ感もある1枚。同時に、音楽の奥からはエモーションも感じられます。

 これはとてもいいです。サウンド・プロダクションも楽曲の雰囲気もソフト。晴れた春の日の昼下がりに、ぴったりのアルバムだと思います。

 前述したとおり、女性の4ピース・バンド(後に1人脱退して3ピースになります)ですが、コーラスワークも重層的で、メンバーの声の相性も良く、本当に素晴らしい。

 1曲目「Brooklyn Phone Call」は、アルバムの幕を開ける1曲目にふさわしく、疾走感のある曲。と言ってもパワーコードでゴリゴリに押しまくる曲ではなく、軽やかにスキップするような1曲です。

 2曲目の「Canadian Boyfriend」は、立体的なアンサンブルとコーラスワークが心地よい1曲。

 3曲目の「Car Trouble」は、やや歪んだギターの音を筆頭に、古き良きロックンロールの香り漂う1曲。

 6曲目「Somehow Angels」は、各楽器が穏やかに絡み合うスローテンポの1曲。耳元で歌っているかのようにレコーディングされた、ソフトで幻想的なコーラスワークも良い。

 10曲目「Stumble Over My」は、ドラムのビートが強く、ノリの良い1曲。爽やかで流れるようなボーカリゼーションと歌メロも良いです。再生時間0:33あたりからのドラムの低音が、パワフルに響くところもアクセント。

 ポップでキュートで、パリのカフェで流れていそうなぐらいオシャレ。しかし、緩やかなグルーヴと、僅かに切なさや憂いも内包していて、聴きごたえのある作品だと思います。

 このバンドは大好きなバンドです。ギターポップ、女性ボーカルを好む人には、ぜひとも聴いてもらいたいアルバム。ですが、残念ながら今のところデジタル配信はされておらず、CDでの入手も難しいようです…。