Averkiou “Throwing Sparks”
アーヴァキウ 『スローイング・スパークス』
発売: 2008年11月11日
レーベル: Clairecords (クレアコーズ)
バンド名は、カタカナで表すなら「アーヴァキウ」あるいは「アーヴァキュウ」に近い発音のようです。フロリダ出身の5人組シューゲイザー・バンド、アーヴァキウの1stアルバム。
同じフロリダ州にオフィスを構える、シューゲイザー専門レーベル、クレアコーズからのリリース。
「シューゲイザー」と一口に言っても、当然のことながら志向するサウンドには、バンドごとに差異があります。アーヴァキウは、激しく歪んだソリッドなギターを用いた、疾走感あふれるアンサンブルは展開するバンド。
轟音ギターに、浮遊感のあるボーカルが溶け合い、爽やかなシューゲイザー・サウンドを響かせていきます。
1曲目の「I Don’t Wanna Go Out」は、ガレージを彷彿とさせる荒々しいギター・サウンドと、ギターポップを思わせる甘いメロディーが溶け合い、疾走していく1曲。
2曲目「Holland & Headaches」は、ディレイを用いて増殖していくようなクリーントーンのギターと、毛羽立ったファズ系のギターが絡み合いながら、躍動感あふれるアンサンブルを作り上げていきます。
3曲目「New York Friends」は、立体的なドラムが曲を先導し、ギターとベースがそこに絡みついていくように、有機的なアンサンブルが構成。
4曲目「The South Wall」は、タイトルにも「wall」が使われていますが、まさに分厚いギターの音が、壁となって目の前にあらわれるようなサウンド・プロダクションを持った1曲です。
5曲目「We’ll Stand Erect」は、ファズ系の歪みのギターによる厚みのあるコード弾きと、クリーントーンのギターによる単音弾きが絡み、疾走していくロック・チューン。
6曲目「Sudden Death, Over Time」は、ギター、ベース、ドラムが緩やかにグルーヴし、浮遊感のあるボーカルがそこに重なる、ギターポップ色の強い1曲。
轟音ギター成分も多分に含まれていますけど、クリーントーンのギターもバランス良く用いられ、全体として爽やかな雰囲気を持っています。
サウンド的にはシューゲイザーの範疇に入る作品だと思いますが、各楽器が分離して聞き取りやすい音色とバランスを保っており、ロック的なグルーヴとアンサンブル、それにギターポップのような爽やかさを併せ持っているところが、このアルバムの魅力ですね。