Okkervil River “Down The River Of Golden Dreams”
オッカーヴィル・リヴァー (オッカヴィル・リヴァー) 『ダウン・ザ・リヴァー・オブ・ゴールデン・ドリームズ』
発売: 2003年9月2日
レーベル: Jagjaguwar (ジャグジャグウォー)
テキサス州オースティン出身のバンド、オッカーヴィル・リヴァーの2ndアルバム。
1stアルバム『Don’t Fall In Love With Everyone You See』に引き続き、フォーキーなサウンドを下敷きにしながら、現代的にコンパクトにまとまったインディーロックを聴かせる作品です。
ルーツ・ミュージック色の強かった前作と比較して、2作目となる本作の方が、鍵盤やギターの使い方にアヴァンギャルドな要素が増え、インディーロック色がより濃く出た作品と言えます。
1曲目「Down The River Of Golden Dreams」は、1分ちょっとのイントロダクション的な1曲で、浮遊感のあるピアノが幻想的な雰囲気を演出します。
2曲目「It Ends With A Fall」は、ゆったりしたテンポの穏やかな曲ですが、オルガンの音色と使い方が、オルタナティヴな空気をプラス。
5曲目「The War Criminal Rises And Speaks」は、ピアノを中心にした立体的な音像を持った1曲。手数は少ないながら、絶妙にタメを作ってリズムをキープするドラムも、アンサンブルに奥行きを与えています。
6曲目「The Velocity Of Saul At The Time Of His Conversion」は、アコースティック・ギターのオーガニックな響きを中心に、多様な音が絡み合うアンサンブルが展開される1曲。奥の方で鳴る電子音のようなサウンドが、カントリーにとどまらない現代的な空気を加えています。
9曲目「Song About A Star」は、イントロのドラムの音を筆頭に、生楽器が臨場感あふれる音質でレコーディングされた1曲。多くの楽器が多層的に重なり、生き物のように心地よく躍動します。
11曲目「Seas Too Far To Reach」は、ピアノを中心にしたミドル・テンポの1曲。イントロからしばらくはボーカルとピアノのみの、シンプルなピアノ・バラードのようなアレンジですが、再生時間0:35あたりで他の楽器が入ってくると、カントリー色の濃い緩やかなスウィング感のあるアンサンブルが展開されます。
アコースティック・ギターを主軸にした楽曲が多く、前作に引き続きファーキーなサウンドを持ったアルバムではありますが、随所に挿入されるオルガンやストリングスが、ファークやカントリーの範疇だけにおさまらないモダンな空気を醸し出します。
しかし、オルタナ・カントリーと言うほどオルタナ色が濃いわけでも、予定調和的にアヴァンギャルドなアレンジを加えているわけでもなく、ルーツへのリスペクトを示しながら、自分たちのセンスでまとめ上げた音楽であるという印象を持ちました。歌を大切にしているというところも、このバンドおよびアルバムの特徴であると言えるでしょう。
本作は、現在のところSpotifyでは配信されていますが、AppleとAmazonでは配信されていないようです。