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Father John Misty “I Love You, Honeybear” / ファーザー・ジョン・ミスティ『アイ・ラヴ・ユー、ハニーベア』


Father John Misty “I Love You, Honeybear”

ファーザー・ジョン・ミスティ 『アイ・ラヴ・ユー、ハニーベア』
発売: 2015年2月9日
レーベル: Sub Pop (サブ・ポップ)
プロデュース: Jonathan Wilson (ジョナサン・ウィルソン)

 メリーランド州ロックヴィル出身のミュージシャン、ジョシュ・ティルマン(Josh Tillman)が、2012年リリースの『Fear Fun』に続き、ファーザー・ジョン・ミスティ名義でリリースする2作目のスタジオ・アルバム。ミキシングは、バンド・オブ・ホーセズ(Band of Horses)やフリート・フォクシーズ(Fleet Foxes)なども手がける、フィル・エク(Phil Ek)が担当。

 ファーザー・ジョン・ミスティを名乗る前から、J.ティルマン(J. Tillman)名義で、8枚のソロ・アルバムを発表。また、2008年から2012年1月まで、フリート・フォクシーズ(Fleet Foxes)にドラマーとして参加しています。

 J.ティルマン時代のアルバムは、総じてアコースティックなサウンドを持っていました。しかし、フリート・フォクシーズを経て、ファーザー・ジョン・ミスティ名義でリリースされた前作では、電子楽器が効果的に用いられ、フォークやカントリーといったルーツ・ミュージックを下敷きにしながら、それだけにとどまらないモダンなサウンド・プロダクションへと変化。

 今作でも、前作の音楽性を引き継ぎ、フォークを根底に持ちながら、随所にオルタナティヴな音とアレンジが散りばめられ、牧歌的で穏やかな空気と、サイケデリックな空気が共存したアルバムに仕上がっています。

 アルバム表題曲でもある1曲目の「I Love You, Honeybear」では、ストリングスを中心に、多彩な楽器とコーラスワークが絡み合い、壮大なアンサンブルが展開。

 2曲目「Chateau Lobby #4 (in C for Two Virgins)」は、バウンドするように躍動感のある1曲。アコースティック・ギターやパーカッション、ストリングスが、暖かくオーガニックなサウンドを作り上げます。

 3曲目「True Affection」は、増殖するように広がっていく電子音から始まり、タイトなアンサンブルが作り上げられる1曲。電子音が多用され、一聴するとテクノ色の濃いサウンド・プロダクションですが、ストリングスも用いられ、バンドの温度感も感じられます。

 4曲目「The Night Josh Tillman Came To Our Apt.」は、粒の立った印象的なギターのイントロに導かれ、各楽器が有機的に絡み合い、ゆるやかに躍動するアンサンブルが構成されていきます。

 8曲目「The Ideal Husband」は、リズム隊を中心に、ビートが強く、躍動感に溢れた1曲。しかし、ただ躍動するだけではなく、ストリングスによるロングトーンが、音響的な厚みをもたらしています。終盤に出てくるノイジーなエレキ・ギターもアクセント。

 9曲目「Bored In The USA」は、ピアノをフィーチャーした、メローな1曲。タイトルからして示唆的なとおり、アメリカの現状を冷めた視点で語っていきます。歌詞には「彼らが与えてくれたのは、役立たずの教育とサブプライムローン」という一節もあり、楽曲の途中では笑い声がサンプリングされ、音楽的にはエレガントなテクスチャーを持ちながら、なんとも嘲笑的な空気も持ち合わせています。

 10曲目「Holy Shit」は、アコースティック・ギターと歌を主軸にした曲。前半は弾き語りに近いシンプルなサウンドで進行し、再生時間2:18あたりから入ってくる壮大なストリングスを合図に、躍動感と音数の増した後編へ。

 フォークを基本としながら、ほのかにサイケデリックな空気が漂う前作と比較すると、本作はサウンド的には多彩さを増し、サイケデリアは後退した1作と言えます。

 前作も、実験性やサイケデリックな要素を前面に押し出した作品ではなく、さりげなくサイケデリックな空気を持ったアルバムでした。本作のアプローチもその延長線上にあり、アメリカーナな雰囲気と、オルタナティヴな空気が、同居した、懐かしくもモダンな音像を持ったアルバムに仕上がっています。

 





Father John Misty “Fear Fun” / ファーザー・ジョン・ミスティ『フィアー・ファン』


Father John Misty “Fear Fun”

ファーザー・ジョン・ミスティ 『フィアー・ファン』
発売: 2012年4月30日
レーベル: Sub Pop (サブ・ポップ)
プロデュース: Jonathan Wilson (ジョナサン・ウィルソン)

 メリーランド州ロックヴィル出身のミュージシャン、ジョシュ・ティルマン(Josh Tillman)。シアトル出身のフォーク・ロック・バンド、フリート・フォクシーズ(Fleet Foxes)にドラマーとして在籍していたことでも知られ、近年はビヨンセやレディ・ガガへの楽曲提供など、多岐にわたる活動を展開しています。

 本作は、そんな彼が2012年1月のフリート・フォクシーズ脱退後、ファーザー・ジョン・ミスティ名義でリリースする1stアルバム。

 J.ティルマン名義で、本作までに8枚のソロ・アルバムをリリースしているティルマン。J.ティルマン時代は、アコースティックなサウンドを持ったフォーキーな作風でしたが、フリート・フォクシーズを経て、ファーザー・ジョン・ミスティ名義となった本作では、サウンドが格段に多彩になり、サイケデリックなフォークが展開。名義の変更と共に、音楽性の明らかな変化があります。

 「サイケデリック・フォーク」と書くと、一言で終わってしまいますが、具体的にはアコースティック・ギターを中心としたフォークやカントリーを下敷きに、電子楽器や、厚みのある凝ったコーラスワークで、オルタナティヴな要素も持ち合わせたアルバムだということ。

 1曲目の「Funtimes In Babylon」から、アコースティック・ギターと歌が中心にありながら、ストリングスや手拍子なども交えた立体的なアンサンブルが繰り広げられます。フォークが根底にありながら、カラフルで、ほのかにサイケデリックな音楽が展開。

 2曲目「Nancy From Now On」は、ピアノとシンセサイザーを中心に、いきいきと躍動するバンド・アンサンブルを持った1曲。生楽器のオーガニックな音色と、電子音のバランスが秀逸で、とにかく鍵盤楽器が活躍しています。

 5曲目「O I Long To Feel Your Arms Around Me」は、オルガンとコーラスワークが、荘厳で神秘的な空気を作り出しています。

 7曲目「Only Son Of The Ladiesman」は、フリート・フォクシーズを彷彿とさせる、シンフォニックなコーラスワークが響き渡る1曲。

 9曲目「Well, You Can Do It Without Me」は、派手さは無いけど、有機的でグルーヴ感のあるアンサンブルが展開。ムダな飾り気の無い、ギターの音色とフレーズが、ルーツ音楽の雰囲気を醸し出します。

 予定調和的に実験的なサウンドやアレンジを導入するのではなく、さりげなく、天然でサイケデリックな要素を持ったアルバムです。

 フリート・フォクシーズを、よりパーソナルに、宅録的に再構築したような、ルーツ音楽と現代性が同居した1作。

 





Love Battery “Between The Eyes” / ラヴ・バッテリー『ビトウィーン・ジ・アイズ』


Love Battery “Between The Eyes”

ラヴ・バッテリー 『ビトウィーン・ジ・アイズ』
発売: 1991年2月7日
レーベル: Sub Pop (サブ・ポップ)
プロデュース: Conrad Uno (コンラッド・ウノ), Jack Endino (ジャック・エンディーノ), John Auer (ジョン・オーアー), Steve Fisk (スティーヴ・フィスク)

 1989年にシアトルで結成されたバンド、ラヴ・バッテリーの1stアルバム。バンド名の由来は、イギリスのパンク・バンド、バズコックス(Buzzcocks)の同名楽曲から。

 本作は1990年に7曲入りのEPとして発売され、翌年の1991年にボーナス・トラックを加え10曲入りのアルバムとして発売されています。

 1989年に結成、シアトル出身、サブ・ポップ所属、コンラッド・ウノやジャック・エンディーノがプロデュースを担当、とデータだけ見るとグランジ・バンドなのだろうなと想像できます。また、前述のとおり、バズコックスの曲目からバンド名を決定したというエピソードも、80年代のMTVやアリーナ・ロックではなく、オルタナティヴな音楽を志向していることを示唆していると言えるでしょう。

 実際に彼らが鳴らす音は、グランジにカテゴライズされる要素も多分に持っていますが、サイケデリックな空気も持ち合わせており、いわゆるステレオタイプのグランジ・サウンドとは一線を画する音楽性を持っています。

 1stアルバムである本作では、グランジ的と言えるジャンクなギター・サウンドと、揺らめくサイケデリックなサウンドとアレンジが溶け合い、歪み一辺倒だけではない、カラフルな音楽を展開しています。

 1曲目の「Between The Eyes」から、早速トレモロのかかったギターが空間に広がり、そこにソリッドな歪みのギターが重なり、多層的なサウンドを作り上げます。どこか物憂げで投げやりなボーカルも、グランジとサイケの空気感の中間のような雰囲気。

 3曲目「Highway Of Souls」は、アコースティック・ギターと、空間系エフェクターを用いたクリーントーンのギター、穏やかなボーカルが溶け合う、幻想的な雰囲気の1曲。静かな前半から、再生時間1:22あたりで音数が増加し、コンパクトなサイケ・ロックが繰り広げられます。

 4曲目「Orange」は、複数のギターが厚みのあるサウンドを作り上げ、ボーカルは浮遊感のあるメロディーを歌う、シューゲイザーの香り漂う1曲。

 6曲目「Before I Crawl」は、ボーカルとコーラスワークも含め、立体的なアンサンブルが展開される1曲。各楽器とのソリッドな音色で、音が機能的に絡まり、一体感とグルーヴ感があります。エモーショナルなメイン・ボーカルと、コーラスがコール・アンド・レスポンスのように折り重なりアレンジも、楽曲に奥行きをプラス。

 7曲目「Ibiza Bar」は、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、ピンク・フロイド(Pink Floyd)のカバー。ワウの効いたギターと、スライド・ギターのように滑らかに滑るコード・ストロークが、サイケデリックな空気を演出する1曲。

 グランジ世代まっただ中のバンドですが、音楽的にはグランジだけではなく、サイケデリックな空気を多分に持ったバンドです。1stアルバムとなる本作は、特にギターのサウンドが多彩で、私見ですがラヴ・バッテリーの作品の中で、最もサイケ色が強いと思います。

 バズコックスの曲目から取ったバンド名、そしてこのアルバム7曲目に収録されたピンク・フロイドのカバーが、彼らの音楽性を端的にあらわしているとも言えるでしょう。サイケデリックなサウンドとアレンジも持ちながら、あくまで地に足の着いた形で、コンパクトなロックにまとめあげています。

 メンバー・チェンジも多く、当時のグランジ・ブームが逆に彼らの音楽性にとっては向かい風となってしまったのか、大ブレークは果たせなかったバンドですが、ブームやメジャー・レーベルに迎合しなかったからこそ、当時の一般的なグランジとは一線を画する、オリジナリティのある音楽を生み出せたのかもしれません。

 





Love Battery “Dayglo”/ ラヴ・バッテリー『デイグロー』


Love Battery “Dayglo”

ラヴ・バッテリー 『デイグロー』
発売: 1992年1月1日
レーベル: Sub Pop (サブ・ポップ)
プロデュース: Conrad Uno (コンラッド・ウノ), John Auer (ジョン・オーアー)

 ワシントン州シアトル出身のバンド、ラヴ・バッテリーの2ndアルバム。グランジ全盛の1992年にリリースされた本作、プロデュースは当時サブ・ポップの作品を多数手がけたコンラッド・ウノと、ザ・ポウジーズ(The Posies)のジョン・オーアーが務めています。

 前述のとおり、1992年に発売された本作。グランジにカテゴライズするサウンドを持った、というよりグランジというシーンの一部を作ったバンドと言ってもいいでしょう。ラヴ・バッテリーのサウンドは、いわゆるグランジにカテゴライズされるざらついた耳ざわりを持ちながら、サイケデリックな空気も持ち合わせているところが特徴です。

 下品に歪んだギター、物憂げなボーカルといったグランジ的要素と、ドラッギーに同じフレーズを繰り返すギター、ゆるやかにグルーヴするアンサンブルなどサイケデリックな要素が溶け合った、彼ら特有のサイケ・グランジを響かせています。

 1曲目「Out Of Focus」は、ゆったりとしたリズムに乗せて、激しく歪んだ2本のギターがそれぞれコード弾きと単音でのフレーズを繰り返し、エモさと憂鬱さを併せ持ったボーカルの歌唱が、さらにサイケデリックな空気をプラスします。ざらついたグランジ的サウンドと、リフレインの多いサイケデリックなアレンジが共存しているのが、このアルバム全体を通しての特徴。

 2曲目「Foot」は、各楽器とボーカルが複雑に絡み合いながら、疾走していく1曲。アレンジにもハーモニーにも濁りがあり、アングラな空気が漂います。

 4曲目「See Your Mind」は、切れ味鋭いギターが、楽曲を加速させていく1曲。左チャンネルの激しくコードをかき鳴らすギターと、右チャンネルのスライド・ギターのように糸を引くフレーズのバランスが秀逸。

 5曲目「Side (With You)」は、アコースティック・ギターと、原音がわからないぐらいまで歪んだディストーション・ギターが。それぞれコードを弾く厚みのあるイントロからスタート。その後も音色の異なるギターが絡み合う、音楽的にもサウンド的にも奥行きのある1曲。

 8曲目「Blonde」は、伸びやかなサウンドの単音弾きのギターと、ジャンクに歪んだコード弾き担当のギターが重なる1曲。やや奥から聞こえるボーカルは、酩酊感のあるフレーズを歌い、シューゲイザー色も感じます。

 9曲目「Dayglo」は、イントロの臨場感溢れる音でレコーディングされたドラムに、まず耳を奪われます。立体的で、各楽器が絡み合う、アンサンブル重視の1曲。

 10曲目「23 Modern Stories」は、独特の濁りと揺らぎのあるギターから、サイケデリックな香りがたちこめる1曲。ボーカルも伴奏に引っ張られるように、不安定トリップ感のあるメロディーを紡ぎます。

 グランジ的なソリッドでざらついたサウンドと、揺らぎのあるサイケデリックなアレンジが、分離することなく融合しているのが、このアルバムの魅力。ブームに乗っただけのバンドではなく、独自の音楽性を持ったバンドです。

 





The Postal Service “Give Up” / ザ・ポスタル・サーヴィス『ギヴ・アップ』


The Postal Service “Give Up”

ザ・ポスタル・サーヴィス 『ギヴ・アップ』
発売: 2003年2月19日
レーベル: Sub Pop (サブ・ポップ)

 シアトルを拠点にする活動するバンド、デス・キャブ・フォー・キューティー(Death Cab for Cutie)のベン・ギバード(Ben Gibbard)と、ディンテル(Dntel)名義でも活動するジミー・タンボレロ(Jimmy Tamborello)、バッキング・ボーカルを務めるジェニー・ルイス(Jenny Lewis)からなるバンド、ザ・ポスタル・サーヴィス。

 主にジミー・タンボレロがトラック制作、ベン・ギバードが歌とメロディーを担当。ジェニー・ルイスもボーカルとしてレコーディングに参加するうち、メンバーとなったとのことです。バンド名は、ロサンゼルス拠点のジミーと、シアトル拠点のベンが、お互いの音源を郵便でやりとりしていたことに由来。

 そんな彼らの1stアルバムであり、唯一のアルバムが本作『Give Up』。電子的なサウンドと、ベンの紡ぎ出す親しみやすいメロディー・ライン、ベンとジェニーによる暖かみに溢れたボーカルが、分離することなく融合する1作。知的でクールな電子音主体のサウンドと、ポップな歌モノの魅力が、高次に実現されています。

 1曲目「The District Sleeps Alone Tonight」は、立体的でクールな耳ざわりのビートに、穏やかなボーカルが重なる1曲。歌のメロディーが前面に出るわけでも、サウンドが前景化されるわけでもない、絶妙なバランス。再生時間2:42あたりからのギターのフレーズ、3:08あたりからのドラムの音数の増加が、加速感を演出し、電子音主体ながらグルーヴが感じられるアレンジ。

 2曲目「Such Great Heights」は、イントロから清潔感のある電子音が鳴り響き、ゆるやかに躍動していく1曲。

 3曲目「Sleeping In」は、フィールド・レコーディングされたと思しき川のせせらぎと電子音が溶け合う、柔らかいサウンド・プロダクションの1曲。電子音主体ながら、機械的な冷たさよりも、音楽のいきいきとした躍動と暖かさが前面に出た1曲。

 5曲目「Recycled Air」は、柔らかな電子音がヴェールのように全体を包む、エレクトロニカ色の強い1曲。電子的な持続音がレイヤー状に重なり、ボーカルとも溶け合い、厚みのあるサウンドを構築。

 6曲目「Clark Gable」は、ビートが強く、電子音主体のサウンドながら、ロック的な疾走感のある1曲。

 7曲目「We Will Become Silhouettes」は、シンセサイザー1台で出しているのかもしれませんが、鍵盤で出していると思われる複数のサウンドが折り重なり、シンフォニックな音空間を作り出します。ピコピコした電子音らしい電子音もアクセントになり、ビートも打ち込み感の強いサウンドですが、ダンス・ミュージック色よりも幻想的な雰囲気が色濃く出た1曲。

 8曲目「This Place Is A Prison」は、倍音たっぷりの押しつぶされたような電子音と、空間に滲んでいくヴィブラフォンのような音が共存する、ダークな音像の1曲。

 9曲目「Brand New Colony」は、テクノ・ポップを思わせるピコピコ系の電子音がイントロから鳴り響く、立体的でポップな1曲。テクノ的なサウンドと立体的アンサンブル、男女混声の美しいコーラスワークが、無理なく融合しています。

 10曲目「Natural Anthem」は、性急なビートと、電子的サウンドのロングトーンが絡み合い、ダンス・ミュージックのビート感と、エレクトロニカの音響的アプローチを併せ持つ1曲。中盤以降は、ノイジーでアグレッシブな電子音が飛び交いますが、ビートと溶け合い、加速感を演出しています。後半までは歌なしで進行しますが、やがてボーカルも入り、歌モノの魅力まで共生。

 電子音を主体にしたサウンド・プロダクションを持ったアルバムですが、その電子音もピコピコした親しみやすいものから、ノイズ的な尖ったサウンドまで併せ持った、レンジの広い作品です。

 サウンドを前景化させたエレクトロニカ的アプローチ、電子楽器と生楽器で有機的なアンサンブルを構成するポストロック的アプローチ、ビートの強いテクノ的アプローチを、曲によってさじ加減を変え、さらに流れるような歌のメロディーも溶け込ませた、抜群のバランス感覚で成り立っています。2003年の発売から、2013年までの100万枚を超えるセールスを記録したのも、納得のクオリティ。